SSブログ
Guitaramp ブログトップ

Princeton65 Mods 5 [Guitaramp]

基板の部品を交換します。

R59 47Kを15Kに交換します。
prnc65-a.JPG 

C8 2200pFを1000pFに交換します。パート1で470pFに交換する計画でしたが、実は改造後の試験で今イチで、1000pFにしました。
prnc65-i.JPG

ポットR8とポットR9を取り外します。特にR9は、この後で使うので、きれいに取り外します。
ポットR8(TREBLE)の場所に、取り外したR9の50KBを取り付けます。
ポットR9(BASS)の場所に、アルプスの9型ポット50KAを取り付けます。
prnc65-t.JPG

prnc65-u.JPG
アルプスの9型ポットは、千石電商で売っていました。このポットとオリジナルのポットは、写真のように形も大きさも違います。しかし、検討の結果、ちゃんと使えることが分かりました。
しかし、アルプスのは基板に取り付けることができません。そこで、基板にはリード線を介して取り付けて、ポットはシャシにナット締めで取り付けます。軸の長さが、5ミリ程度足りませんが、ノブを付けてみると、遜色なく使用できます。
prnc65-w.JPG

prnc65-x.JPG

このような形でポットの交換ができました。
オリジナルの回路は、トレブルに50K30C、ベースに50KBが使われていました。
これを、トレブル50KB、ベース50K15Aに交換したことになります。
この詳細については、長い話になるので、別の機会に説明したいと思いますが、この変更でアンプは使いやすくなりました。

その他に、C5を変更しました。
1回目の試験で、リバーブも正常になり随分と使いやすくなったのですが、低音が弱い事が分かりました。スピーカーも弱いのですが、キャビネットが小さい事も低音不足の原因です。
これを改善するには、スピーカーを交換するのが良いのですが、17,000円のアンプにお金をかけるのも、もったいない。そこで、トーンコントロールを少し変えることにしました。
C5 0.22uFを、0.1uFに変更します。
この結果、トーンコントロールの周波数特性は、スーパーリバーブと同じになります。とても具合が良いです。

以上の変更で、Princeton 65 は、使えるようになりました。めでたしめでたし。
安いし、軽いし、最低限の音量もあるし、しばらく現役で使います。
おわり


nice!(0)  コメント(0) 

ACE TONE SA-3 その4 [Guitaramp]

すっかり SA-3 の事を忘れている今日このごろです。
さて、どっから再開するか。

パワートランジスタはカンタイプで鉄シャシに直留めされています。鉄シャシをヒートシンクにしています。これじゃ心配なので、アルミ板でヒートシンクを作ります。手元に2mm厚の歯切れが有ったので、これを加工してヒートシンクを作ります。シャシの孔に合わせて、トランジスタが取り付けられるように孔を開け、少し折り曲げます。
sa3-7.JPG
大きな方が、パワーアンプ終段用で、小さい方はドライバー用です。

もう一つ、修正がありました。パワートランジスタの1個の固定ネジが、シャシの孔の縁に異常に接近しています。このネジはトランジスタの外ケース(エミッタ)と同じ電位になる通電部で、一歩間違えると、シャシにショートします。あぶねー。
昔と言わず今と言わず、結構このような事は多いです。シャシの孔を削っておきます。
sa3-8.JPG

このヒートシンクをシャシに取り付けます。
sa3-18.JPG

パワートランジスタの取り付け
パワトラは、マイカ板を介してシャシに取り付けられていますが、マイカ板に塗ってあるシリコンペーストが乾燥して固まっています。これは水分を含んでべとべとゲル状になってないと熱の伝導ができないので、やり直します。まず、マイカ板をきれいに清掃して、新しくしりこんぺーストを塗ります。
これを、今度はシャシではなく、アルミのヒートシンクに取り付けます。
sa3-15.JPG

sa3-16.JPG

パワートランジスタ取り付け後
sa3-19611b.JPG
ヒートシンク真ん中から出ているのはスピーカーコードです。あまり良い方法ではありません。オリジナルのコード引き出し口がここだったので、そのまま作りました。まあ、売り物には不的確ですが、自分で使うには良しとします。

sa3-7b06nb.jpg
写真は、シャシ内側から見たものです。左側の上下にある四角い基板のようなものが、パワートランジスタ取り付け用のソケットです。

つづく  いつまで続くだべ

林クラフト ホームページ
http://www002.upp.so-net.ne.jp/hayashi_craft/







nice!(0)  コメント(0) 

Princeton65 Mods 4 [Guitaramp]

さてそれでは、基板上の部品を変更していきます。基板上の幾つかの部品のハンダを取り去り、新しい部品をハンダ付けするのですが、ここで、ハンダをきれいに取り去る事が重要になります。ハンダを取るには、ハンダ吸い取り機を使います。

このハンダ吸い取り機も、ピンからキリまで有りますが、実用に耐えるものはある程度お金が掛かります。
安いものでは、手動ポンプ式がありますが、これは実用にはなりません。アンプの自作や改造には、電動ポンプ式のハンダ吸い取り機が必要です。
昔1970年代はじめにはプロの製造の現場でも手動式を使っていたのですが、(と言うかこれしか無かった)80年になるころには工場のラインの補修部やアフターサービスでは電動ポンプ式が使われるようになります。
振り返ってみると、昔の大ざっぱな設計のベーク片面基板の補修では、手動ポンプ式でもなんとかハンダは吸い取ることができましたが、密度が高く、スルーホールや銅箔も薄くなったような両面基板では電動ポンプ式でないと、失敗する確率が高くなり、手動ポンプ式では時間ばかり掛かって、やってられない事態になりました。
ハンダを溶かして、吸い取るという作業は、できるだけ手早く短時間で、しかも1回で、終わらせる必要があります。ハンダを溶かしている時間が長いと、プリント基板の銅箔が溶けて薄くなって、もろくなったり、無くなってしまったりするのです。このような事が起こらないためにも、良いハンダ吸い取り機が必要です。
余談ですが、1980年ころのM社JCM800シリーズの基板の銅箔は脆弱でした。ジャックやポット交換等でハンダを吸い取ると、銅箔がペラペラと基板から剥がれるのでした。長い仕事の経験の中でも、他社ではこんな弱い基板は見たことが無いです。1回ではなく複数回経験しています。
結果として、ハンダ吸い取りは最短時間で行い、部品の交換後に基板パターンをメッキ線で補強する、という事になりました。こんな基板に、手動ポンプ式しか手段が無かったら、もう絶望です。

どうでも、「手動式で何とかしろ」という事なら、むりやりに何とかできない事もない?ですが、作業する箇所が多くなると、それに掛かる時間と労力も膨大になり、それなりの超人的な技術も必要になります。やはり、普通の人は電動ポンプ式を使うべきだと思います。
prnc65-v.JPG
私のはもう30年くらいたつ旧式ですが、主要部品を交換しながら、今でもちゃんと使えます。新品で買うと数万円はしますが、それだけの価値は十分にあります。
バカみたいに高いコンデンサや、電線を買うくらいなら、ハンダ吸い取り機にお金を掛けましょう。

とは言え、何とか成らないか?と言う人のために
手動式で作業をするやり方
このダイナタッチ・シリーズのアンプの基板はコンポジット、別名紙エポキシ、という片面基板を採用しています。片面基板なら、ちょっとの工夫で手動ポンプ式ハンダ吸い取り機で、何とか部品交換をすることができます。
その方法
1 まず、目的の部品、これの足をニッパで切ります。もうこの部品は使いません。
2 次に基板裏側で、ハンダを、ハンダこてで溶かして、部品の足の残りをピンセットでつまんで撤去します。
3 次に、このハンダを、吸い取り機で吸い取ります。
以上の3ステップですが、特に2は、手早くやってください。

注 ただし、上記の方法が使えるのは抵抗とコンデンサくらいの小さな単純な形のリード型部品に限ります。Princetone65の例で言えば、ポットの取り外しは、手動ポンプ式ではたぶん不可能です。プリント基板のパターンを壊してしまうリスクが高いです。

電動ポンプ式ハンダ吸い取り機では、この工程の1と2を省略するできます。その上で、3の工程も素早く、きれいにする事ができます。
特に両面基板のスルーホールの中に残ったハンダを除去するのは、もう電動ポンプでないと無理です。またビンテージのフェンダーアンプのファイバー基板のハトメに入ったハンダの除去も、電動ポンプでないと無理です。それから50年代、60年代のラグ板に部品を組んだ真空管アンプの修理等では電動ポンプ式は必要です。

ハンダ付けの指南書
昔、1970年ころ?CQ出版から「実装技術」というありがたい本が出ておりまいした。もちろん今では絶版です。また、「初歩のラジオ」というこれまた初心者にはありがたーい雑誌もありました。これも絶版。
そのかわりに、今日では雑誌「トランジスタ技術」に時々「ハンダ技術のこつ」のような特集記事が毎年のある時期に出ているようです。興味のある人はネットで調べて、もし本屋さんに出た時に買うと良いでしょう。

どんどん長くなってしまう。
つづく

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

Princeton65 Mods 3 [Guitaramp]

シャシ材質は1.6mm厚のアルミニウムです。豪華!鉄シャシよりは高価なはずです。
このアルミシャシのおかげで、65Wのアンプにもかかわらず、大きなヒートシンクがありません。アルミシャシ全体がヒートシンクになっています。フェンダーのダイナタッチ・シリーズと呼ばれるアンプはみんな同じアルミシャシを採用しているようです。
鉄は蓄熱作用があるので、鉄シャシの場合、シャシ自体のコストは下がりますが、大型アンプでは大きなヒートシンクが必要になり、結局同じくらいのコストがかかります。

分解
まず、フロントパネルのノブを取り外します。引っこ抜けば取れます。
すると、ポットの軸の根本に黒いスペーサーが見えます。これを引っこ抜きます。
こういう、細かい部品はなくさないよう注意してください。無くすと、本当に大変です。
prnc65-o.JPG
次にフロントパネルのジャックのナットを緩めて、外します。

次に、正面から見て右側のワイヤリングが束になって、ごちゃごちゃしている部分に取りかかります。
prnc65-c.JPG
上から見たところです。

prnc65-d.JPG
右横から見たところです。

ここから先は、もう後戻りできない領域です。自信が無い人は、やめましょう。

この束になったワイヤリングは、それぞれがファストンクリップで基板と電源スイッチに接続されています。それを1本づつ、取り外します。
この時に、必ず絵を描いて記録していきます。クリップの位置、名前、電線の色など間違えないように、正確に記録します。
もし、Service Manualをダウンロードできれば、記録は不要です。しかし、記録を正確に取る習慣を付けると、だいたいどんなアンプでも、分解して元通りにするくらいの事はできるようになります。

まず、電線を束ねているインシュロック・タイをニッパで切ります。それから、絡まっている電線を整理して、手前から順にクリップを外していきます。
prnc65-l.JPG

パイロットランプは、リード線をつまんで、引っ張ると、ホルダーからLEDが出て来ます。はめ込み式になってます。
prnc65-m.JPG

電源スイッチの上側の端子、白と黒の2本、もクリップを抜きます。
基板上のスピーカー端子、白と黒の2本、もクリップを抜きます。
基板左側のリバーブ・タンクへのコネクタ、赤と白、も抜きます。
これで、基板上の全てのワイヤリングが外されました。

次に、シャシを裏返すと、3本のネジがあります。ヒートシンクを接着するネジです。これを緩めて、取り外します。
prnc65-f.JPG

シャシを再び表にして、基板を固定しているプラスネジを取り外します。全部取ると、基板は少しの力で簡単に動くようになります。
もし、びくともしない時はネジの取り忘れがないかよく確認してください。

電源トランスの下側、パワートランジスタの下に、ヒートシンクのアルミのブロックがあります。これをシャシ後方へずらすように移動すると、外れます。写真は基板を外した後のものです。このブロックが基板したにあります。
prnc65-q.JPG

注意して、基板を、フロントパネルから後ろに向かって押していくと、ポットの軸が、フロントパネル孔から外れます。この時に、基板上の部品が、電源トランスに引っかかる事がありますが、無理に押し込まないで、やさしく扱ってください。かと言って、ある程度の力は必要です。こつが要ります。

ポットの軸が、孔からはずれたら、基板を左方向へずらします。
prnc65-p.JPG

取り外した基板
prnc65-r.JPG

さあ、どうしましょ。
つづく
nice!(0)  コメント(0) 

Princeton65 Mods 2 [Guitaramp]

早速、訂正。今では、回路図はフェンダーのサイトには無いようです。フェンダーもケチになりました。
まあ、必要な人はいろんなサイトがあるので、Survice Manual を探してみましょう。

自己責任の話
初めに、この話をしておくべきでした。この私のブログには、間違いも、時代遅れの価値観も含まれています。何しろ、無我夢中でやってますので、見落としも勘違いも有りです。信じる信じないは自己責任でお願いします。
もし、読者がご自身で作業される場合は、どんな結果が出ても、全て自己責任でお願いします。
何が起きても、私は知りません。
これは、何十年も前から続く、自作の掟です。

さて、シャシを取り出します。
まず、アンプ裏側から、スピーカーの配線、スピーカーの端子からクリップを外します。
次に、リバーブタンクのコネクタを外して、キャビネット裏から見て、右側面にあるコードクランプを留めてあるネジを外します。

シャシは6本のネジで、キャビネットに固定されています。4本は天面に有り、2本は側面にあります。キャビネット側面は、前側と後側に2本のネジが見えます。前側はバッフルを固定するネジなので、これは触りません。後ろ側のネジがシャシ固定ネジです。
キャビネット側面後側のネジを外します。左右の側面に1本づづ、計2本です。
天面のネジを外しますが、一度にやると、シャシが落ちてしまいますので、順にやります。
まず、キャビネット前側の2本を外して、次にキャビネット後ろから見て右側のネジを外します。
つぎに、片手でシャシを落ちないように支えながら、残った最後の1本のネジを外します。
ネジが取れると、シャシをゆっくりとキャビネットから引き出します。
ああ、くたびれる。
取り付けの時は、逆をやります。

prnc65-h.JPG
取り外したシャシの写真です。

スピーカーについて
このアンプは安物なので、着いているスピーカーもチープです。12インチとは思えない小さいマグネット、でもこの小さいマグネットが幸いしています。
エミネンスでは、10インチでこの貧相なマグネットがよく使われていますが、たぶんこのマグネットとボイスコイルは75W用かと思います。性能的には不足はありません。
あくまでも一般論ですが、マグネットやボイスコイルが小さいと、音圧は小さくなりますが、きれいな音が出ます。過去の名器では、ジェンセンのP12Rや、セレッションのアルニコブルーやグリーンバック、他にもシルバートーンやグレッチで使われたローラのスピーカーなどがあります。
名器と比較してはこのアンプの12インチスピーカーは少し可愛そうですが、まあ安物の中では見込みがあります。使ってみましょう。
prnc65-k.JPG

つづく




nice!(1)  コメント(0) 

Princeton65 Mod [Guitaramp]

prnc65-y.JPG
Fender Princeton65 安くていいアンプですが、ちょっと問題が有って改造します。
1年半くらい前にヤフオクでこのアンプを買いました。丁度安くて、軽くて、ある程度の音量がある、そして分解修理が簡単なアンプを探していたら、これに当たりました。値段は約¥17000で、外観はとてもきれいでした。少し使っていると、欠点も見えてきました。

Princeton65 は、フェンダー社の2003年のカタログに出ているアンプです。約16年前のアンプ、という事になります。フェンダー社の中でも、当時の安物ラインの中でちょっと上質の、という位置づけでしょうか。出力は65W、12インチスピーカーが1発、本当に65W出るので大したものです。ただし、スピーカーは安物です。このようなアンプで、まあ無理を承知で言えば、デラックスリバーブの代打くらいはできます。2チャンネルですが、ドライブ・チャンネルは使いません。クリーンのみ使って、歪みはエフェクターを使います。

さて、問題の欠点は以下です。
1、小音量ではリバーブの効きが悪い。というか、ほとんど効かない。
大きな音ではそれなりに出てくる。不便。
2、クリーン・チャンネルのゲインが高すぎて、小音量で非常に使いづらい。
とにかく、小さいアンプのくせに、たぶん少年が体育館で爆音で鳴らす、ような設計のコンセプトです。
3、トーンコントロールの変化カーブが変。なんか1から2くらいに上げても派手に変化する感じ。
3くらいに上げると、もう昔のアンプの7か8くらい上がってる感じ。

このように音が悪いという事は無いが、使いにくいのです。これはたぶん、このアンプを売りたい対象が、私のような老人ではなく、とにかく大きな音でわーっと鳴らしたい少年たちのために忖度したアンプではないかと思います。まあ、時代の流れ、とは言いつつもう16年も前の2003年の話である。
おじさんが使えるように直してあげよう。

ネットで回路図を入手します。フェンダーのサイトにあります。
以下の箇所を変更します。
1、抵抗R59を15Kにします。これでプリアンプの出力が下がり、相対的にリバーブのドライブレベルを上げることができます。
2、コンデンサC8を470PFにします。これは2200PFだったので、ブライトスイッチがONになりっぱなし状態でした。
3、ポットR8とポットR9を変更します。クリーン・チャンネルのTREBLEとBASSです。トーンコントロールのカーブを変更します。少々面倒ですが、
ポットR8とR9を外します。R8の場所に、R9を外した部品(B50K)を取り付けます。R9の場所には、新しく調達したアルプスのポット(50KA)を取り付けます。

つづく



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

ACE TONE SA-3 その3 [Guitaramp]

sa3scm-7a30-1.png
SA-3プリアンプ回路図です。
sa3scm-7b17.png
SA-3パワーアンプ回路図です。

 以上の回路図はやっとこさコピーしたもので、1回目のコピーでは間違いが多く有り修理をしながら訂正した結果がこれです。部品の定数を読めない箇所や、詳細の分からない部品はそのままの形で書いておきます。まだ間違えている箇所が有るかもしれませんが、細かい違いはもう気にしない事にします。もし、間違いが有っても、必要な作業の都度に確認すれば良いだけのことです。

 まずインプット、おなじみのHiとLoの二つがありますが、その他にTREと表示されたジャックが1個有ります。これはTREBLEです。つまり高音を強調したトーンになりますが、役に立たない残念な回路です。
 プリアンプもパワーアンプも、半導体は全てNPNシリコントランジスタです。この当時、FETはまだ登場しません。ですから、入力インピーダンスは今のアンプと比べると多少低めだと思います。
 トーンコントロールはCR型で、音色はあまり変化しません。その代わりに、パワーアンプの前にある押しボタンスイッチのフィルターで3色の切り替えをしています。このような構成は、内容は少し違いますが昔のAmpegのアンプに多く見られます。
 総合的に見るとこのアンプのトーン回路の音は、あまり良くはありません。まあ昔の設計なので仕方ありません。
 トーンコントロールの後には、ビブラート回路が有ります。これはトレモロではありません。当時、というか少し前の60年代初頭、フェンダー社のブラウントーレックス・アンプやVOXのAC30が真空管のビブラート回路を採用していました。当時ビブラートというのは、トレモロよりも高級だと思われていて、回路も複雑で部品も多く、設計もめんどくさい代物でした。しかし、その音は、今でもブラウントーレックスやAC30で聞けますが、つまらない物でした。このSA-3も例外ではありません。ビブラートの音は、まず使えません。フェンダー社でも63年からのブラックフェイスでは、ビブラートをやめて、有名なフェンダー式トレモロになっています。SA-3は67年ころの発売なので、完全に流行に乗り遅れてました。
 まあ、昔のアンプなのでこんなもんですが、もしこのアンプをもっと良く鳴らせたいと考えるのであれば、このビブラート回路は撤去して、信号をスルーさせた方が良いです。今回は、そこまではしませんが。
 それから、このビブラート回路には、たぶんフォトカプラと思われる部品が2個使われています。回路図中でただの四角形で表示したのがそれです。この部品の詳細は分かりません。

 そんで、インプット・トランス式のパワーアンプです。これは後でアンプが稼働してから調べてみると、とても面白いアンプでした。実は、このパワーアンプは後日改造しました。改造後は、ここだけ取れば、真空管アンプにも負けない内容になりました。後日説明しましょう。

 話は前後しますが、回路図が一通り取れるとアンプの内容が分かってきます。
 ざっと考えて、電源トランスと半導体はまあ使えるだろうと予測します。仮にこれらが壊れていても何とか代わりの部品は有るだろうと、勝手に決めます。実際苦労はしますが、なんとかなります。
 終段とドライバーに使っているパワートランジスタがちょっと心配ですが、この2SD130は、実は中身は2SD880と同じようです。外観は2SD130がカンタイプで、2SD880がプラスチックモールドですから、取り付け方法が異なりますので、もしその場合は多少の金属加工が必要になりますが、これもなんとかなります。でも結果としては、そうはならずに済みました。
 50年も前のアンプですから、電解コンデンサは全部交換します。インプットとフットスイッチのジャックは、もうすでに錆びていて全部交換です。
sa3-1.JPG
 スピーカーは埃だらけです。特に取り付けて上に向いているコーンの部分には厚く堆積しています。取り外して掃除します。水彩絵の具の筆を箒にして掃除機で埃を吸いながら作業します。コーンに埃が付着したままだと、たぶん音も変わるし、なにより衛生的に悪そうです。テスターで導通を見て、約6から7オームくらいならたぶん使えます。もう一度キャビネットに取り付けて、音の善し悪しは他のアンプに接続して確かめます。やぱっし、、、昔の日本のギターアンプです。低音もやせていて、高音も不足して、ブライト感もなく、もたっとした張りのない音です。これは、「太い」などと喜べない音です。まあ、期待する方が悪いんだけど。
 というところで、やっと実際の作業を始めます。
sa3-27b.jpg
 電源プラグは写真のようにブレードが曲がっています。これは古いアンプではよくあります。私は迷わず新品に交換します。バカ高い電源コードや電源プラグで音が良くなるなんて、私は信じてませんが、電源プラグは曲がったのより新品が良いのは確かです。
 電源コードは、UL規格品のSVTが使われていました。電源トランスには米国とヨーロッパに対応したタップが有りますので、この当時のエーストーンは本機で輸出仕様になっていたことが分かります。
sa3-29b.jpg
 電源プラグと電源コードは、日本の電取規格品の12Aに交換します。電源コードはシャシ内で、コードクランプにより固定されます。これも当時の日本の電気製品ではちょっとめずらしく丁寧な作り方で、やはり輸出を強く意識しています。
sa3-12.JPG
 整流ダイオードは1A品を4個、ラグ版に組んでシャシに取り付けてありました。しかし、8Ω30Wアンプの電源は、最大出力時にはピークで2.7Aが流れます。整流のダイオードブリッジの1個のダイオードには半波が流れますから1.35Aのような気がしますが、そうはいきません。瞬間には2.7Aが流れ、その分VFが上昇します。また実際には、整流に要する時間は1/50秒よりももっと短いので、瞬間にはもっと大きな電流が流れています。
 とにかく、1Aダイオードではちっと荷が重いのです。また昔は歪みなんか使わないのが普通でしたが、今時のオーバードライブなんぞやると、1Aダイオードは飛んでしまうでしょう。飛ばないまでも重労働することになり、ある日突然、、、
 また、昔と違って今では少し大きなダイオードも安価に買えますので、200V6Aのブリッジダイオードに交換します。この部品は、そのままシャシにネジで固定できます。また鉄のシャシでも、このくらいなら多少は放熱できます。
sa3-30b.jpg

 前述の変なブレーカーを撤去して、普通のヒューズに変更します。ついでに、2次回路にもヒューズを入れます。2次ヒューズは、電源トランスと整流ダイオードの間に入れます。こうする事で、整流ダイオードや2次回路電源配線がショートするような、放置しておくとアンプに重大なダメージを与えるような異常時には短時間でヒューズが切れます。
 ただし、たとえば終段のトランジスタに異常な電流が流れたり、抵抗が燃えたくらいの事ではヒューズが切れないこともあります。注1参照
sa3-28b.jpg
 1次ヒューズにはT1.25Aを、2次ヒューズにはT3Aを使います。ただし、このヒューズの値は、測定器を使って実際の電流の実効値を計って決めます。また、測定器は普通のテスターではだめで、HIOKI 3182 等の電源専用の測定器を使います。
sa3-31.png
注1、2次回路で何かが燃えても1次ヒューズが切れない事態は、実際に多くあります。特に、電源トランスがコスト重視で不当に小さい場合には、電源トランスが過熱した状態で、2次回路で電源がショートしても1次ヒューズが切れない事が起こります。この状態になると、2次回路はどんどん加熱して、トランスも加熱するので、ショートしたとは言え、加熱したトランスの抵抗があるので流れる電流はある値で制限されます。結果、その電流値が1次ヒューズの値以下なら、この状態は半永久的に続きます。そのまま続けば、何が起きるか?恐ろしい事態ですが、条件が整えば、実際に発生します。私は1度出会ったことがあります。2次ヒューズはこうした最悪の事態を、ある程度防止する事が可能です。
 ただし、100%防止するためには、電源トランスの中に温度ヒューズを入れておく事が必要です。現在市販されているまともなメーカーのギターアンプにはちゃんと温度ヒューズが入っています。しかし、昔のアンプには有りません。もちろん値段の高いビンテージアンプにもありません。
 ですから、ビンテージアンプの取り扱いはご用心。簡単に言うと、絶対にやたらに大きな数値のヒューズを使わないことです。ビンテージアンプを見ていると時々10Aとか大きな数値のヒューズが入っている事がありますが、自殺行為です。ヒューズは、たとえ時々切れるとしても、必ずメーカーの指定値を使います。また、アンプを使わない時は電源プラグは必ず抜いておく事です。

sa3-10.JPG
 電解コンデサを交換します。50年前と今では部品の大きさが違います。同じ仕様ならうんと小さくなってしまいました。幾つかのコンデンサでは小さくなって取り付けに問題が出てきます。電源の一番大きな平滑コンデンサでは、元の2倍の容量にします。こうすると、元の部品と直径が同じか、近いので、そのまま交換できました。2200UF63Vは4700uF63Vにします。ここのコンデンサや、電源のその他のコンデンサも元の容量よりも大きくても差し支えない部分は多くあります。電源のコンデンサは大きい方が音も良くなります。また電源のメインコンデンサは4700uFにしたのですが、整流ダイオードを6Aにしたのは、そのためにも有効です。元の1Aダイオードでは、この点でも不利になります。
 470uF63Vは1000uFにしましたが、まだ直径が足りない。そこでテープを巻いてホルダーに取り付けます。テープはビニールテープでもいいのですが、難燃性が無いので、ガラス繊維のテープにしました。
 また、新しい電解コンデンサは基板用で、端子の形がスナップインしか有りません。昔の孔の開いたラグ型がいいのだけど、無いので仕方なく使用します。
 他の基板の上に載っている電解コンデンサも全部交換します。電源のフィルターに使っているものは容量が元のものより多少大きくても大丈夫です。信号の通過するものや、アンプの動作に関係するものは同じ容量を使います。耐圧は、基本的には元と同じものを使います。しかし、昔のアンプでは6.3Vや10Vといった耐圧の低い電解コンデンサが出てきますが、これらは16VでもだいたいOKです。
 電源電圧のぎりぎりの耐圧のものや、回路によっては耐圧を超える電圧がかかる可能性がある箇所などは注意します。たとえば、パワーアンプ出力の470uF35Vは、63Vに変更しておきます。しかし、逆にやたらとどこでも耐圧が何倍も高いものに変えるのはあまり良いことではありません。特に信号レベルの低いアンプに使用されているものは、なるべく元の耐圧に近いものを使います。
つづく

林クラフト ホームページはこちら
http://www002.upp.so-net.ne.jp/hayashi_craft/



 













  





nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

ACE TONE SA-3 その2 [Guitaramp]

 それではSA-3を分解します。ノートに記録を取りながら進めます。まず、天板を外します。天板のネジ6本を外してから、アンプの左右側面にあるシャシを固定しているネジ4本を緩めます。このネジはまだ外しません。緩めるだけにしてください。それからアンプの後ろ側から天板をめくり上げます。このままでは、天板のフロントパネル側は上がってきません。天板をアンプ後方へ引き抜くように外します。そうすると、写真のように天板が外れて、シャシの中が見えるようになります。
sa3-2.JPG
 変わったアンプです。天板が外れるアンプはとても珍しいです。ですが、全く他に無い訳ではありません。米国スタンデル社のアンプは、同じ構造をしています、こちらは1967年ころにはすでに発売されています。SA-3の発売が69年として、その2年前にはスタンデル・アンプがあった事になります。どっちがオリジナルだったんでしょう?
 スタンデル社は米国のアンプメーカーで、当時はけっこう有名でした。おもな愛用プレーヤーにウエスモンゴメリーがいます。
sa3-1.JPG
 次の写真は、シャシまで外したところです。キャビネットは箱型になっていません。シャシがキャビネットの構造の一部になっていたのが分かります。このような構造にすると、シャシをキャビネットから引っ張り出さなくても、天板を取れば簡単な部品交換くらいなら十分できます。当時、アンプメーカーにとってアフターサービスは頭の痛い問題でした。少しでも修理の現場を楽にしたかった意図がくみとれます。スタンデルがえらかったのか?
sa3-7b06k.JPG
 実は、エーストーンとスタンデルの謎はまだあります。次の写真は、SA-3のシャシのリヤパネル左端ですが、赤い丸いスイッチのようなものが見えます。これはヒューズの代わりの一種のブレーカーで、日本製の部品です。この部品には、Nikko Electric Mfg Co Ltd Japan と書いてあります。当時ニッコーという会社は山水やパイオニアと並んでオーディオアンプをつくってもいました。そのニッコーで生産されたオーディオ製品にもこのブレーカーが使われていました。
 スタンデルのアンプにも同じようなブレーカーが使われていました。スタンデルに使われていたのが、これと同じ部品かどうかは不明です。2011年と12年にスタンデルアンプを何台か修理したのですが、その時に見て確認しておけば良かったと、今となっては思います。いずれにしろ、このブレーカーを使ったギターアンプは非常に珍しいものです。エーストーンとスタンデルの他には見たことないです。それにしても、なんでスタンデルはこんな部品(ニッコーの皆さん失礼)を使ったのか?
sa3-7b06a.JPG
 このブレーカーは当時はヒューズがいらない新時代の部品として紹介されたのでしょうが、回路保護という点でそれほどメリットも無かったのか、数年後には姿を消してしまいます。たぶん、ULとかCSAなどの安全規格に適応できなかったんでしょうね。SA-3もこのブレーカーがどの程度の性能なのか不明なので、このアンプでは取り外して普通のヒューズを取り付けます。
 どうも寄り道が長いので、なかなか先に進みません。
sa3-7b06n.JPG
 それでは、取り外したシャシを見ます。いきなり目を引くのは、基板の上にあるトランスです。このSA-3が個性的である最大の特徴です。トランスそのものは、小さな安っぽい外観どおりに安い部品です。これはパワーアンプの終段をドライブするためのトランスです。このトランスを持ったアンプをインプット・トランス型アンプと言います。昔は略してイントランス型アンプと言っておりました。
 60年代初頭トランジスタを使ったパワーアンプの主流は、このインプットトランス型でしたが、出力も小さく、性能もそれほど良くなかったのでオーディオ業界ではすぐに全くトランスを使わないSEPP-OTLという形式に移ります。この流れは楽器業界も同様で、時を同じくしてインプットトランス型は絶滅していきました。古ーいトランジスタアンプを見ていると時々遭遇します。
sa3-7b06nb.jpg 
次の写真の左上、左下、右下に写っている四角い基板のようなものはパワートランジスタのソケットです。この裏側に(シャシの外側)パワーアンプの終段トランジスタが取り付けてあります。ヒートシンク(放熱器)はありません。?そうです、ありません。このアンプでは鉄板のシャシにパワートランジスタ2SD130が直に取り付けられています。これで出力30Wの放熱は大丈夫? たぶん、オーバードライブしなければ、なんとか持つでしょう。でも、私はオーバードライブもしたいのでヒートシンクを付けることにします。
 鉄板は、確かにある程度はヒートシンクの役割をします。おそらくそのような考えで設計されたのでしょう。しかし鉄は蓄熱効果もあるので、薄い鉄板では放熱効果も相殺されます。やはりアルミのヒートシンクが必要です。昔はある程度ごまかせたでしょうが、今どき無理です。現役のアンプを目指しましょう。
 つづく

 






nice!(0)  コメント(0) 

ACE TONE SA-3 その1 [Guitaramp]

 数年前にジャンクで入手したエーストーンSA-3です。値段はたしか3千円か4千円くらいだったと想います。ヤフオクの写真では美品に見えましたが、実物はたばこのヤニまみれで汚かったです。たぶん昔どこかのお店に置きっぱなしになっていたと思われます。まあ、ジャンクです。文句は言えません。何とか再生できると思います。
sa3-3.JPG
 余談ですが、だいたいジャンクなんていうのは高くても数千円が相応だと思います。ジャンク何万円なんてのをヤフオクで見ると、笑ってしまいます。動くか動かないか分からないもの、壊れているもの、明らかに修理するのに高額な費用が掛かるもの、なんてのは数万円の価値が有るんですかね?
 さて、いきなり電源を入れてはいけません。何時でも始めて見るアンプは用心します。それに電源プラグはひん曲がっていて、こんなのを家のコンセントに入れるのでさえ躊躇します。インプットジャックは錆びています。ここにシールド線のプラグを差し込むと、プラグの表面が傷だらけになります。スイッチクラフトも一発で劣化してしまいます。
 なにより、こんな古くて汚いアンプがいきなり良い音で鳴るわけがないです。それと、もし何かの問題が有って、電源を入れた事により重大な故障が発生する可能性もゼロでは無く、博打のようですが、それに当たっちゃった時は悲惨です。ですから、慌てずに、まずアンプの事をできる限り調べます。
 エーストーンSA-3が発売されたのは、たぶん1969年だと思います。間違ってたらごめんなさい。だいたいは合ってると思います。ローランドができる3年前というのは、何か象徴的でもあります。ちょうどこの頃、66年にはイギリスではマーシャル1987や1959が発売されて、ジミヘンも登場しています。
 そんな昔ですから、当然電解コンデンサは全部賞味期限切れです。インプットジャックは錆びてるし、電源プラグは曲がってるし、スピーカーのコーンには埃が積もってるし、アルミのツマミやプラスチックのグリルにはたばこのヤニが付着して黄ばんでいます。
 このアンプの回路図等の資料は何もありません。そこで、実物から回路を調べて回路図を書くことになります。最近のアンプでしたら、回路を調べるなんていうのはとんでもなく苦労します。不可能なアンプもあります。でも1969年くらいのアンプは、時間さえ掛ければ回路はほぼコピーできます。
 それでは、アンプを分解して回路を調べます。
つづく

林クラフト ホームページ
http://www002.upp.so-net.ne.jp/hayashi_craft/


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
Guitaramp ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。