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ACE TONE SA-3 その2 [Guitaramp]

 それではSA-3を分解します。ノートに記録を取りながら進めます。まず、天板を外します。天板のネジ6本を外してから、アンプの左右側面にあるシャシを固定しているネジ4本を緩めます。このネジはまだ外しません。緩めるだけにしてください。それからアンプの後ろ側から天板をめくり上げます。このままでは、天板のフロントパネル側は上がってきません。天板をアンプ後方へ引き抜くように外します。そうすると、写真のように天板が外れて、シャシの中が見えるようになります。
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 変わったアンプです。天板が外れるアンプはとても珍しいです。ですが、全く他に無い訳ではありません。米国スタンデル社のアンプは、同じ構造をしています、こちらは1967年ころにはすでに発売されています。SA-3の発売が69年として、その2年前にはスタンデル・アンプがあった事になります。どっちがオリジナルだったんでしょう?
 スタンデル社は米国のアンプメーカーで、当時はけっこう有名でした。おもな愛用プレーヤーにウエスモンゴメリーがいます。
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 次の写真は、シャシまで外したところです。キャビネットは箱型になっていません。シャシがキャビネットの構造の一部になっていたのが分かります。このような構造にすると、シャシをキャビネットから引っ張り出さなくても、天板を取れば簡単な部品交換くらいなら十分できます。当時、アンプメーカーにとってアフターサービスは頭の痛い問題でした。少しでも修理の現場を楽にしたかった意図がくみとれます。スタンデルがえらかったのか?
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 実は、エーストーンとスタンデルの謎はまだあります。次の写真は、SA-3のシャシのリヤパネル左端ですが、赤い丸いスイッチのようなものが見えます。これはヒューズの代わりの一種のブレーカーで、日本製の部品です。この部品には、Nikko Electric Mfg Co Ltd Japan と書いてあります。当時ニッコーという会社は山水やパイオニアと並んでオーディオアンプをつくってもいました。そのニッコーで生産されたオーディオ製品にもこのブレーカーが使われていました。
 スタンデルのアンプにも同じようなブレーカーが使われていました。スタンデルに使われていたのが、これと同じ部品かどうかは不明です。2011年と12年にスタンデルアンプを何台か修理したのですが、その時に見て確認しておけば良かったと、今となっては思います。いずれにしろ、このブレーカーを使ったギターアンプは非常に珍しいものです。エーストーンとスタンデルの他には見たことないです。それにしても、なんでスタンデルはこんな部品(ニッコーの皆さん失礼)を使ったのか?
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 このブレーカーは当時はヒューズがいらない新時代の部品として紹介されたのでしょうが、回路保護という点でそれほどメリットも無かったのか、数年後には姿を消してしまいます。たぶん、ULとかCSAなどの安全規格に適応できなかったんでしょうね。SA-3もこのブレーカーがどの程度の性能なのか不明なので、このアンプでは取り外して普通のヒューズを取り付けます。
 どうも寄り道が長いので、なかなか先に進みません。
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 それでは、取り外したシャシを見ます。いきなり目を引くのは、基板の上にあるトランスです。このSA-3が個性的である最大の特徴です。トランスそのものは、小さな安っぽい外観どおりに安い部品です。これはパワーアンプの終段をドライブするためのトランスです。このトランスを持ったアンプをインプット・トランス型アンプと言います。昔は略してイントランス型アンプと言っておりました。
 60年代初頭トランジスタを使ったパワーアンプの主流は、このインプットトランス型でしたが、出力も小さく、性能もそれほど良くなかったのでオーディオ業界ではすぐに全くトランスを使わないSEPP-OTLという形式に移ります。この流れは楽器業界も同様で、時を同じくしてインプットトランス型は絶滅していきました。古ーいトランジスタアンプを見ていると時々遭遇します。
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次の写真の左上、左下、右下に写っている四角い基板のようなものはパワートランジスタのソケットです。この裏側に(シャシの外側)パワーアンプの終段トランジスタが取り付けてあります。ヒートシンク(放熱器)はありません。?そうです、ありません。このアンプでは鉄板のシャシにパワートランジスタ2SD130が直に取り付けられています。これで出力30Wの放熱は大丈夫? たぶん、オーバードライブしなければ、なんとか持つでしょう。でも、私はオーバードライブもしたいのでヒートシンクを付けることにします。
 鉄板は、確かにある程度はヒートシンクの役割をします。おそらくそのような考えで設計されたのでしょう。しかし鉄は蓄熱効果もあるので、薄い鉄板では放熱効果も相殺されます。やはりアルミのヒートシンクが必要です。昔はある程度ごまかせたでしょうが、今どき無理です。現役のアンプを目指しましょう。
 つづく

 






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