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Alnico5 と Alnico2 その1 [Pickup]

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今までにアルニコ5は実に沢山のピックアップに使われてきたので、当然ながら使われた音楽も沢山有り、その中には名曲が沢山有ったりします。そうすると、自然とアルニコ5は良い磁石と思われてきました。私も長い間信者でありました。
ところが、ストラトキャスターの実体験ではちょっと違っています。ネック側ピックアップは極力低くセットしないと、6弦はポールピースに引っ張られて、ハイポジションで変な振動をします。ストラト最大の弱点です。
ジミヘンのような天才は別として、普通ストラト弾きは、この対策に追われます。ネックを真っ直ぐにして、ブリッジを調整して、ピックアップを下げて、最後はやはりビンテージの本物を買うしかないのか?それとも6弦のハイポジションは弾かないのか?
実は、この問題はアルニコ2のピックアップを採用する事で解決します。音が変わる? そういう事もありますが。その事も帳消しになるくらい音が良くなります。

アルニコ磁石は幾つかの種類があり、主なものではアルニコ2、アルニコ3、アルニコ5など有ります。磁力の強さで言えば、5が一番強く、3が一番弱く、2はその間となります。

1954年ストラトが出て来た時、そのピックアップはアルニコ3でした。という話です。私は見た訳ではありませんが、そういうことにして話を進めます。
当然全てはアルニコ3の特性からデザインされていました。ストラトキャスター独自のピックアップの位置やスタガードポールピース、ブリッジの材質、たぶんボディの材質などもアルニコ3と関係が深いと思います。
ところが、1957年か1959年ころにアルニコ5に変わりました。 聞いてないよー アルニコ5に変わった結果、出力がわずかに大きくなり、押しの強い音になります。そして少しバランスが崩れていきます。
もう一つの要因、当時はまだピュアニッケル弦しかありません。ピュアニッケル弦はフェンダーでは60年代中頃まで続きます。それに、まだライトゲージはありません。現在使われているニッケルめっきのスチール弦に比べて、このピュアニッケル弦は柔らかい音が特徴ですが、磁石に引っ張られる性質もスチールよりは幾分小さくなります。

注、これは間違いでした。磁石に引っ張られる性質はニッケルも鉄もだいたい同じでした。また、質量が少し違うので、弦の張力は違うようです。詳しい事が知りたい人は、ピュアニッケルの弦で試してください。

この二つの要因、アルニコ3とピュアニッケル弦のために54年のストラトキャスターは何の問題もなく良いギターになりました。この二つの条件の下で合理的に設計されたので当然と言えば当然の結果です。アルニコ5に比べて音が少しおとなしいという点を除いて。とにかく世界が認める名器に違いはありません。
しかし、たぶん時代の要求でしょう、59年ころにアルニコ5に変更され、弦も60年代後半にはニッケルプレートのスチール弦に移行します。この事が、その後のストラトにおける6弦の異常な振動を引き起こしました。と、私はかってに考えました。
この時、フェンダー社にとって主力はジャズマスター、ジャガーです。すでに旧式になったストラトにかまっている暇は無かった? ストラトは改良される事もなく古いままに置かれた。これも勝手な想像です。
ついでに、テレキャスターも創生期にはアルニコ2だったのが、同じくこの時代にアルニコ5に変わって行ったと、これも勝手に想像です。
63年くらいから世界はBeatles になりました。グレッチとリッケンそれに乗じた他社のセミホロウボディは売れまくりましたが、フェンダーはピンチでした。ことにストラトは人気がありませんでした。

そして、ジミヘンです。ジミヘンは天才ですが、彼にこき使われたストラトもすごいなと思います。幾つかの欠点、チューニングが狂うとか、調整がめんどくさい等の欠点を乗り越えて、気がつけばストラトはエレキギターの定番になっていました。以後、多くの名人によって、6弦の異常振動を帳消しにするような活躍が続いて、今に至ります。

しかしジミヘンが使っていたとしても、私の手にするストラトには依然としてこの問題は残っています。問題は6弦だけではありません。他の弦は一見良さそうですが、この影響でサスティンが短くなっています。どうする?

この問題の一つの解決策は、大音量で演奏することです。
ジョークのような話ですが、どうやら本当らしい。
考えて見れば、ジミヘンが始めてストラトに大音量を要求しました。50Wに12インチ8発です。ここまで行かなくても、それまでの普通のバンドで50Wアンプの音量でも十分でしょう。
大きな音で演奏すると、ギターには空気を伝わってスピーカーの振動が到達します。これが弦の振動を助けます。フィードバック奏法まで行かなくても、ギターはスピーカーからの音でドライブされます。
家で小さな音で弾いている時とライブでは音が違う。これは気のせいではありません。実際違います。
このアコースティックのフィードバックは、ストラトの弱点を簡単に補ってくれます。6弦の変な振動は無かったかのようになり、ペンペンと鳴るようなストラトが見違えるようなサスティンになります。
まあ、少し大げさですが、とにかくこれでストラトの欠点はある程度帳消しになりました。
ジミヘンの後に続いたギター弾きたちは、皆大音量のおかげでストラトを満喫したのでした。
おわり

いやいや、それでは困る。
もっと小さい音でなんとか鳴らないか?
そこでアルニコ2です。

アルニコ2については、いろいろな人の解説を読んで、そんなものか、と思っていた段階でした。手元にアルニコ2のロッドがあったので、これでストラト用を作ってみました。このアルニコ2は元はブロードキャスターとか作ってみるか、と計画倒れの在庫でした。
実際にネック用とミドル用を作りました。
知識では、アルニコ2は、アルニコ5よりも柔らかい音でハイが凹んで、音が小さい、こんな感じでした。とりあえず、フォームバー42番で8000回巻き、パラフィンで含浸して、着磁します。
作り方は原始的です。おそらくフェンダーさんが会社の創生期にやってたのと同じような方法です。特殊な機械はありません。でもガウスメーターと巻き線機のカウンターは自作しました。

さて、実際にアルニコ2の音は、素直ないい音です。まず、アンプを通さない時にもフラットトップギターのような素直な生音がします。じゃきーんと鳴ります。アンプを通しても、ちゃんとハイが出ます。当たり前か。太い、抜ける、良い音です。
確かにアルニコ5とは、僅かに違うと言われれば、そうだけど。何も問題ない。現振動が素直になったのがよく分かる。ガウスメーターでもポールピース上面からの磁束密度は小さいことが確認できる。物性ではアルニコ2ではアルニコ5の約60%だが、試作品ではもう少し小さくなっている。まあ、でもこんなもんでしょ。ポールピースの弦の引っ張りが小さい事はサスティンも増すし、一般に倍音もきれいになる。
アルニコ5のように強い引っ張りは、弦の振動はポールピースの位置を節として、フレットとブリッジの間を分割してしまうために、リングモジュレーターのような、音程とは関係のない成分が出てしまう。時にはこれがアタック感のような味付けにもなるが、音楽によっては害にもなる。当然倍音成分やサスティンにも影響を与える。
もう一つ、ピッキング時の弦のフレットへの当たりを考えると、アルニコ5で強く引っ張ることで、音の立ち上がり時の衝撃音が強くなる可能性もある。この辺がアルニコ5がこのまれる遠因かもしれない。勝手な想像である。科学的な裏付けは何もない。

とにかく、ストラトにアルニコ2、あたしは気に入った。出力も言われてるほど気にならない。小さくないよ。なにより勢いに任せてバリバリ、ばきばき弾けるのが気持ちいい。
フェンダーカスタムショップの偉大なおばさんの巻いたアルニコ2ピップアップ・セットの価値も、ごもっとも、と頷けるものであります。ダンカンでもアルニコ2は評判良いようです。


するとだな、テレキャスターのフロント(ネック側)も、アルニコ2がいいんじゃないの?
もっとも、こっちは厄介な金属カバーが付いている。これを取ったらいいんだが、もうテレじゃない?

もう一つの方法、減磁。

ビンテージ・ギターの音が良いのは磁石が弱ってるからだ。というご意見もある。ピックアップの磁力が落ちれば、弦の振動もより自然になる。
確かにアルニコは経年変化で磁力が落ちる、らしい。
という事で実験しました。アルニコ5の磁力を落とせるか?
やったら簡単でした。その方法はまだ秘密ですが、そのうち公開しましょう。
ただし、ピックアップの6本のポールピースを均等に減磁するのは少しこつが要ります。また、アルニコ5の場合、どの程度に落とすのか、この加減も問題です。
減磁して、ほんとに音は良くなるのか????

つづく





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